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2007年9月17日 (月)

ウイスキ〜がお好きでしょ。

「ウイスキ〜がお好きでしょ。」
サントリー角のCMがリメイクされている。琥珀色にゆれる液体を見ていたら22年前にタイムスリップ。


ココは東京の世田谷区。学生時代から通っていた古ぼけた赤提灯のお店。
青いのれんをくぐると「いらっしゃいませー。」と笑顔のマスターが迎えてくれる。

「これはこれはどーも。」とマスターがビールの栓をぬいてくれた。
常連ともいかないなでも、客が最初に何を頼むかちゃんと分かっている。
厨房には炊き始めた煮込みの鍋から湯気がのぼり始めていた。
秋から冬にかけてのお店の空気が一番好きだ。
煮込みが煮詰まるまでは「さて、何を頼もうか。」

とりあえずシロ、セイニク合わせて5本。ガラガラ入り口があいてお客さんが入ってっくる。見ると常連のさぁちゃん。
すすっと丸い腰かけを横にずらし、定位置へ誘導する。
「よっ!」笑顔で挨拶してくれるさぁさん。狭い店内の桟敷がぎゅうぎゅう詰めになるのはいつもの事。
ビールとセットのピーナッツをポリポリやりながら雑談。
マスターの鼻歌が聞こえ始めると串焼きのいい香りがしてきた。


昭和28年より営業している店内はこの店の歴史だらけだ。
このカウンター越しにどれだけの人がマスターの横顔を肴に飲んでいたことか?。
氷柱で冷やす冷蔵庫にはヤッコやちりめんがお客を待っている。その上には清酒沖正宗といいちこ。脇には古ぼけた番付表が貼られている。

早々に1本目のビールが底をつき、つぎを頼もうとした時、ガラガラ入って来るお客。
「こんばんは。」来店したのは常連になりつつある写真家の浅井慎平氏だ。
ぎゅうぎゅう詰めのカウンターをさらに詰めて席をつくる。不思議とすっぽり収まる桟敷席。注文はいつも黒の小瓶か角。
自分も2本目を注文した。
まもなくビールと串焼きが同時に出された。たれに包まれたシロが旨い。
「角は昔高級品だったんだよ。」ものしりで楽しい浅井さんの話が聞こえてくる。お酒がすすむと上海リルを口ずさむ。「どこにいるの〜かリ〜ル。」いよいよのってきた。

自分の隣のお客さんが「じゃ、ごちそうさま。」と席を立つ。2000円も出すとおつりがたんまりと帰ってくる。
後かたづけする時、燗冷ましのお酒(残り物)が煮込み鍋へ注がれると、もうじき完成する。


気が付くと、また隣のお客と肩がはりついている。
「わるいねぇ。」と声をかけてきたのは浅井さん。
反対どなりのお連れの方やさぁさんと何かしきりと話している。「漱石ってのはねぇ、こんな札になんか成りたかった人じゃないんだよ。」出たばかりの新千円札を肴に話がはずむ。
「ねぇ、花屋さん。」と私にも話しを振ってくる。
突然の振りに思わず「僕は〜そうは思いませんね。」

高校時代に浅井氏の著書を読んでいた私は話しかけられるだけでドキドキだった。
すかさずマスターがフォローしてくれた「おぉ、こりゃ手強い人が出てきましたよ。」
その時、後に出てくる野口英世 と完全に間違えていた自分がいた。つっこみが無かったのでその場は一安心。


雑談で楽しんでいると「煮えましたよ。」とマスターの声。いよいよ真打ち煮込みの登場!。
これを食べずしてこの店を語れない。
器に盛られた煮込みが刻みネギで見えなくなる。とろけるモツが身体のシンから暖めてくれる。これがココでの最高のとき。

一味であるか七味であるか、またそこで雑談に花が咲く。
次の一杯は何にしようか?。「シロダブで!」
「はぁ〜いシロダブひとつ。」福の神の様な顔でマスターが答えてくれる。
コップの中の氷がウイスキーと交わりユラユラゆれる。他に出されたお水と交互に飲んでいくと、吊された裸電球といっしょに自分もユラユラゆれてきた。


ふと、現実(現代)にもどる。壁には浅井さんから頂いた「あさひや」のマスター横田さんの写真。
今はお話も出来ない遠い所。花屋をやって二十数年たった今でもマスターの足下にも及ばない。
2007年敬老の日、そんな事も思い出してみる。Nikomi


写真は、あさひやの煮込みを記憶の中で再現。

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